「バカ、何も分からず頷くな」
すると、小野君は呆れたようにあたしを見下ろす。
「ほら~!アユちゃんだってそう言ってることだし。なっ?」
「こいつがあんだけの大人数を前にして固まるのは目に見えてるだろ。わざわざ連れて行く意味が分からない」
「そんなこと言ってるけど、本当はアユちゃんをみんなに会わせたくないんだろ?」
「会わせたくない。それがどうしたんだよ」
小野君はうんざりした表情を浮かべながらそう言った。
その時、チクっと胸が痛んだ。
小野君は……あたしを友達や先輩に会わせたくないんだ。
あたしをみんなに会わせるの、恥ずかしい?
あたしを彼女だって紹介したくない?
あたしってそんなにダメな彼女かな……?
確かに顔もスタイルも普通だし、おまけに色気なんてないに等しい。
小野君の友達にもすぐにゲラゲラ笑われちゃうし。
小野君と吊りあってないっていうのは自覚してるつもり。
だけど、今の言葉はちょっと効いたなぁ……。
目頭が熱くなって唇をギュッと噛む。



