「ない。だけど、キスもエッチもどっちもタイミングってあるから。何となくキスしちゃったりとか」
「タイミング?」
「アユもタイミングが合えば、言えるかもよ?」
「言えるって……何を?」
「小野君に、キスしたいって」
「い、い、言えるわけないよ!!」
小野君の唇と自分の唇が重なり合うって想像しただけでも倒れちゃいそうなんだから。
ましてや、自分から「キスしたい」なんて言える自信がない。
だけど、小野君と……キスしたい気もする。
「もし何かあったら相談にのるから」
「うん、ありがとう」
タイミング良くチャイムが鳴り、舞子との話が打ち切られる。
……小野君はそういうことしたいと思わないのかな。
思ってくれてたら、嬉しいんだけどなぁ。
チラッと小野君の席に視線を向けると、小野君は窓から差し込む光を受けて気持ちよさそうに眠ったままだった。



