「気安く触るんじゃねぇよ」
すると、その手を小野君がパンっと払いのけた。
「……そういう時だけ彼氏面するんだ?」
「は?何?もう一回言えよ」
「迎えにはこないくせに、頭触っただけで怒るんだ?」
「……テメェ……――」
小野君と直人君はあたしを間に挟んで睨み合う。
二人の間に漂う嫌な空気。
それに気付いたあたしは、
「直人君、また明日ね!今日はどうもありがとう!!」
直人君に至近距離でヒラヒラと手を振った。
「うん、バイバイ」
直人君はキョトンとした表情を浮かべながらも、手を振り返して歩きだした。
ハァ……よかったぁ。
小野君と直人君が喧嘩になったらどうしようって焦っちゃった。
「小野君、今日は迎えに来てくれてありがと……って、えぇ?!」
「俺は帰るって言ったはずだ」
「そんな……こんなところにおいていかないでよ……」
ペダルに足を置いて、今にもバイクを発進させそうな小野君を思わず引き止める。



