このままじゃ、小野君は本当に帰ってしまう。
何故か不機嫌オーラ全開の小野君をこのまま帰らせるわけにはいかない。
その怒りの原因はあたしにある。
電話に出なかったから。
……ん?でも、それだけのことで怒るなんて……。
ちょっと不思議。
それに、何で小野君がこんなところに……?
「小野君も……一緒に帰ろうよ?」
「バカか、お前」
冷たい目で見下ろされて自分の失態が無性に恥ずかしくなる。
本当は小野君に送っていってほしいんだもん。
でも直人君がここまで送ってくれたのに、そんなこと言えないよ。
「俺が帰るよ。姫川さん、また学校でね」
気を遣ってくれたのか、直人君はあたしの頭を大きな手でポンポンっと叩いた。



