「直人君も早く彼女が出来るといいね?」 直人君なら、すぐにでもできると思うけど。 「そうだな……。でも当分はできなそう」 「え?どうして?何か理由でもあるの?」 「それは言えないな」 「……そっか。余計なこと聞いてごめんね」 直人君の横顔がほんの少しだけ曇ったような気がして、あたしはそれ以上聞くことができなかった。 「えっと、ここは右?左?」 「こっちだよ」 道が二手に分かれ、右側の道を指差した瞬間、バイクの大きな轟き音が耳に届いた。