家に向かう間、直人君はあたしに合わせるようにゆっくりとしたペースで歩いてくれた。
あ……小野君と一緒だ。
直人君のそんな気遣いさえ、小野君と重ね合わせてしまう。
あたし、重症かも。
「あのさ、前から気になってたんだけど、小野が姫川さんに告白したんだっけ?」
「うん。告白っていうものじゃないけどね」
『俺と付き合え』なんて命令系の告白なんて聞いたことない。
俺様の小野君らしい告白の仕方だけど。
逆に『俺と付き合ってください!』なんて顔を赤らめて言われたら……
うん、案外それはそれでなかなかいい。
「そっか。小野が女の子に告白するなんて意外だな。それほど姫川さんに魅力があったんだね」
「ま、まさか!!魅力なんてないよ!!」
ブンブンと首を左右に振って否定する。
「そういえば、直人君って彼女いないの?」
「いないよ」
「へぇ~意外だね!!直人君って背も高いし、優しいし、カッコイイもん。女の子にモテそう」
それはお世辞ではなく、全て本心で。
あたしの経験上、直人君のような男の子は、女の子に異常なまでにモテる。
謙虚な直人君は「そんなことないよ」と照れ臭そうに首を横に振った。



