小野君が迎えに来てくれなかったことが悲しいんじゃない。
小野君にだって予定があるし、迎えに来てなんて急に頼んだあたしが悪い。
でも、直人君に送っていってもらえって頼むことないじゃない。
彼女が他の男の子と一緒にいても小野君は何とも思わないの?
小野君にとってあたしはどうでもいい存在なの?
あたしは小野君が女の子と二人っきりになるなんて絶対に嫌なのになぁ。
「じゃあ、俺が責任をもって姫川さんを家まで送ってくよ。彰人、舞子ちゃんまたね」
「うん、バイバイ!!」
「じゃーな!!」
二人が去ると、直人君はニコッと柔らかい笑みをあたしに向ける。
「俺らもいこっか?」
「だね」
あたしと直人君は肩を並べて電灯の少ない道路を歩きだした。



