「……無理だよぉ」
小野君に「迎えに来て」なんて上から目線でものを言えるはずない。
「彰人は直人君に送ってもらえばいいって言ってるけど、それは問題があるでしょ?
だから早く電話して迎えに来てもらって」
確かに舞子の言うとおりで。
カラオケでもファミレスでも、舞子と彰人君が一緒にいたから直人君と二人っきりにはならなかった。
だけど、直人君に送ってもらうということは……。
それにこれは、思ってもない絶好のチャンスだ。
小野君に電話をかける機会なんて滅多にあるものじゃない。
もし迎えに来てくれなくても、電話越しに小野君の声を聞けるなんてレアだ。
「……うん。分かった!!頼んでみる!!」
あたしはハァと息を吐き出して決意を固めると、その勢いのまま小野君に電話をかけた。



