小野君ともこうやって和やかに話せればいいのにな。
同じ目線になって他愛のない話をしてみたい。
いつもあたしばっかりベラベラ自分のことを喋ってるし、たまには小野君の話聞きたいな。
会話って言葉のキャッチボールだもん。
一方通行じゃ、つまらない。
目の前の直人君の笑顔を小野君の笑顔に置き換えると、思わず胸がキュンっと高鳴る。
今頃、小野君は何してるんだろ。
バイト……?
バイトって何のバイトしてるか知らないや。
教えてくれてもいいのになぁ。
「……――姫川さん?」
「あ、ごめん!!」
ぼんやりと小野君のことを考えていたあたしは、直人君の声でハッと我に返った。
「考え事でもしてた?」
「……ううん、何でもないよ」
「そっか」
あたしが首を横に振ると、直人君はホッとした表情で頷いた。
結局、カラオケBOXにいる間中、小野君のことが頭から離れなかった。



