軽く互いの自己紹介を交わした後、彰人君と舞子は互いにマイクを奪いあうように歌い始めた。 「姫川さんってカラオケ得意なの?」 ストローでオレンジジュースをちびちびとすすっていると、隣に座っていた直人君があたしの顔を覗きこんだ。 「ううん、あたし人前で歌うのって苦手。音痴だし恥ずかしい」 「そっか。俺も苦手なんだよね」 「そうなんだ。一緒だね」 あたしが微笑むとつられて直人君も柔らかい笑顔を浮かべた。