「……誰に電話してたの?」


電話をかけていた場所から少し離れたところでそう聞いてみる。



「警察。あの変態を捕まえてもらわないと俺の気が済まない」


「変態ってもしかしてこの前の?」


「そうだ」


そう答えた小野君にあたしはニコッと微笑みかけた。



「小野君、あの人と喧嘩しなかったね」


「何で俺があいつと喧嘩しなきゃなんねぇんだよ。バカバカしい」


小野君は先輩をボコボコにして病院送りにするような人。


怒りやすい小野君ならすぐにあの変質者に手をあげると思っていた。


でも、小野君は意外なほどにスマートな対応で警察を呼んでくれた。