もしかして……小野君、心配してくれてる?


あたしがまたあの変態に会ったりしないかって……。


……フフッ……何かすごく嬉しいかも。


思わず顔が緩んだあたしに気付き、小野君は目の下を引きつらせる。



「そういえば、小野君は大丈夫?」


「何が」


「あの人に出くわしてないかなって心配になって」


あたしは小野君に家まで送っていってもらってるから安全だけど、小野君は違う。


一人で歩いている時にあの変態に遭遇したら……そう考えるとちょっぴり不安になる。



「あんな変態に簡単にやれれるわけねぇだろ?お前は自分の心配してろ」


小野君、それは勘違いだよ。


あたしは小野君があのおじさんにやられるなんて考えてないもん。


心配は小野君があのおじさんに手をあげてしまうこと。


短気な小野君が二回も毛むくじゃらの体を見せられて、黙ってるはずないし。


心の中でブツブツ呟いていると、突然小野君があたしの腕を引っ張った。