「ただいまぁ……」


「ずいぶん疲れてるんだな。どうだった、小野君との初めてのお泊まりは?」


「ケン兄、それはセクハラっていうの。それに、妹にそんなこと聞くお兄ちゃんいないよ?」


昼過ぎ。


家に着くと玄関先で出迎えてくれたのは母ではなくケン兄だった。


見るからにニヤけた表情を浮かべるケン兄は、すぐさまあたしに右手を差し出した。


「で、約束のハーゲンダッツは?」


「はいはい、これで貸しはチャラね?」


アイスの入ったコンビニ袋をそのままケン兄に渡すと、ケン兄は嬉しそうにリビングに入っていった。