「言いたいことはちゃんと言え。嫌なら嫌でいいし、怖いなら怖いでいい」


「小野君……」


「俺に変な気遣うなよ。そんなんじゃ、お前が疲れるだろ?」


「あたし、疲れてなんかいないよ?」


「俺は、お前が嫌がることは無理矢理したくないし、強制もしねぇよ」


小野君はベッドからソファに移動しながらそう言った。


テーブルの上の煙草に手を伸ばし、ライターで火を付けている小野君の横顔を見つめていると、無性に胸が苦しくなった。


小野君には全てを見透かされていたんだね。


「小野君……ごめ……――」


「謝るな。別にお前が謝ることじゃない」


煙草の白い煙はフワッと天井に向かって昇っていく。