バタバタと走ってきた男の子はあたし達の前でピタリと立ち止まった。 まだあどけない顔をしている5歳くらいの男の子。 手にはお世辞にも豪華とは言えない水族館の薄っぺらいパンフレットが握られていた。 「ママ―、ちょっと来て!」 「太郎、走っちゃだめでしょ!!」 後から来たお母さんに向かって、太郎君という男の子は無邪気な笑顔で小野君を指差してこう言った。 「このお兄ちゃん、ミジンベニハゼみたいだね!」 小野君が……ミジンベニハゼ? その瞬間、場の空気が凍りついた。