「小野君が笑ってたのって、リカコちゃんの歯に青のりがくっ付いてたからなの?」
「歯になんかくっ付いてるってずっと気になってたんだよ。それを指摘しなかったのは俺の優しさだ」
「でも、最後にみんなの前で指摘したよね……?」
「自分の女を不細工呼ばわりされたんだ。当たり前のことだろ」
「……小野君……」
少しだけ感動しながら小野君を見上げると、小野君はすぐにあたしから顔を反らした。
小野君が顔を反らす時は、照れている時だ。
「勘違いすんな。俺が不細工と付き合ってる男だと言われて不快だっただけ」
……もう!持ち上げておいてすぐに落とすようなこと言うんだから!!
一週間、同じ教室の中にいながらまともに目も合わせることが出来なかった。
でも、今ならちゃんと謝れそうな気がする。
「……あの……小野君……」
「何だよ」
「……ごめんなさい!!」
あたしはその場に立ち止まり、深々と頭を下げて謝った。



