「直人君……ごめんね?」 「姫川さんが謝ることじゃないよ。全部俺のせいだよ」 小野君が去った後、あたしは神社の水道でタオルを濡らし、それを直人君の顔に当てた。 整った直人君の顔は見る影もない。 右目は半分しか開かず、唇の端が切れて血が滲んでいた。 「……まさか本気で殴るなんて……」 小野君が人を殴る姿を見たのは初めてで。 表情一つ変えずに淡々と腕を振り下ろす小野君。 小野君が喧嘩慣れしているのは一目瞭然だった。