小野君と女性は土手の頂上で何やら言い争っているように見えた。
声は聞こえないけれど、二人の素振りで何となく予想がつく。
あたしの存在は、あの人の目にどう映ったんだろう。
あたしが仮に小野君の浮気相手だとしたら、小野君と彼女がいるところに割って入る様な事はしない。
浮気相手はそれ相応の我慢をしなければいけないものだと勝手に解釈していた。
でもあの女の人は違った。
堂々とした振る舞いで小野君に接していた。
浮気相手はあたしなのかもしれない。
嫌な想像が頭を巡り涙が出そうになり慌てて顔を上げた。
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