「……壱星!見つけた!!」 ぼんやりとそんなことを考えていると、見知らぬ女の人が小野君の顔を覗き込んだ。 紺色の浴衣に身を包んだ綺麗な女性。 年齢は20代前半だろう。 「何で電話切るの?酷いじゃない」 女性から漂う甘い香水の香りに大人の色気を感じ、あたしは唇を噛み締めた。 それは直感だった。 直人君が見たのはこの女の人だ。 この人と小野君が腕を組んで歩いていたんだ……。