土手はカップルや家族連れなどで溢れかえっていた。 ここはラストの花火を見るには絶好のスポットだと小野君が教えてくれた。 確かにシートを敷いて場所取りをしているであろう人の姿がぽつぽつと見られる。 「これ使え」 空いていたスペースに腰を下ろそうとすると、小野君はビニール袋をあたしに手渡した。 「汚れるだろ」 「……ありがとう。でも小野君は……?」 首を横に振ると小野君はドカッとそのまま地面に腰を下ろした。