「……何か食べようか?安心したらお腹すいちゃったよ」 小野君の胸に押し当てていた顔を持ち上げた瞬間、ふいに唇を奪われた。 「んっ!」 触れるだけのそのキスから小野君の気持ちが伝わってきた気がした。 「やきそば食うか」 「……うん!」 人混みの中にいても、ひと際目を引く存在の小野君。 さっきのキスシーンを見ていた周りの人が小野君をうっとりした表情で見つめる。 「ほら、早くいくぞ」 小野君もそれに気付いたのか、ノロノロと歩くあたしの手を掴んだ。