「小野君、遅いなぁ……」 時間を確認してあたしはハァと息を吐く。 約束の時間からもう1時間近く経過しようとしている。 もしかしたら小野君は約束を忘れてしまったのかもしれない。 辺りはすでに陽が落ちて真っ暗で。 目の前を腕を絡めて通り過ぎて行ったカップルの幸せそうな姿に、あたしは再び溜息をついた。