小野君と付き合う前、直人君にアプローチされていたらあたしは間違いなく直人君を選んでいただろう。 大らかで優しくて正義感が強くて。 笑うと白く整った歯が顔を覗かせて。 なんの濁りも汚れもない瞳に見つめられたら大抵の女の子はコロッと落ちてしまうだろう。 だけど、もう遅い。あたしには小野君がいる。 「ごめんね……あたしは直人君の気持ちに答えられない」 あたしは結局、直人君から逃げるようにその場を立ち去った。