「ほら、今日の主役はゆっくりテレビでも見てて?」


「悪いわね。そうさせてもらう」


半ば強引に母の背中を押してキッチンから追い出すとあたしは止めていた手を再び動かした。



チキンとポテトと飲み物はきっと小野君が自腹を切ったんだろう。


あたしが明日その分のお金を渡そうとしたところで断られるのは目に見えている。


あたしが小野君に出来るお礼……。



「……あ、そうだ!!」


ピカッと名案が頭の中に浮かび、泡だらけの両手を胸の前で叩く。


「小野君喜んでくれるかな……」


あたしは小野君の喜ぶ顔を想像しながら、再びシンクに視線を移した。