「で、これはいくらなの?うちそんなの頼んでないけど」 すると、ずっと黙っていたケン兄があたしの持っている袋を指差した。 明らかにさっきまでとは違い、不機嫌オーラ全開のケン兄。 顔には出さないけれど、あたしに負けたと心の中で悔しがっているに違いない。 「お金はいただきません。それは小野さんのおごりみたいです」 「おごり?」 「はい。お金は頂かないように言われてます」 「へぇ……。てかさ、君の働く店ってアイスある?」 「はい。ありますけど……」