「……えぇ、姫川です。Lサイズ一枚お願いします」 母はピザ屋のチラシを片手に注文する。 電話口から微かに漏れる声は小野君のものだろうか。 男の人のものに間違いはないけど、きっと小野君じゃない。 小野君の声はもっと掠れているし、ドスがきいているように低い。 「アユ、どうしたの?」 「ううん、何でもない!!」 電話を切った母は、ピタリと後ろに張り付いていたあたしを不思議そうに見つめながら首を傾げた。