電柱の陰に身を隠している中年の男性。 ロングコートを羽織り、マスクを付けて辺りをキョロキョロとうかがっている姿は、明らかに不審者だった。 「なんだあいつ」 不審者に気付いたのか小野君は目を細めて、男を見つめる。 小野君の目は恐ろしいほどに鋭くて。 あの人よりも、小野君の方が100万倍怖い。 「なんか怪しい雰囲気だし、関わらないほうがいいよ。ねっ?」 ジッと男を見つめる小野君の袖を遠慮がちに引っ張ると、突然男がこちらに駆け寄ってきた。