「……どうして小野に言わなかったの?」 小野君が教室に入ると、直人君が少し困ったような表情を浮かべた。 「昼休みになったら言おうとしてたの……」 「でもまぁ、そんなに落ち込まないで」 暗い表情のあたしを励ますように直人君は肩をポンッと叩く。 「小野は行かないみたいだし、姫川さんはどうする?俺が一人で行ってもいいけど」 「……ううん。あたし一人で行く」 全く関係のない直人君にそんなことまでしてもらう訳にはいかない。