「ねぇ、小野君」
「何だよ」
「あたしは小野君にとって……何なんだろう」
人通りの少なくなった細い道の真ん中で立ち止まる。
小野君もあたしにつられて立ち止まった。
横をすれ違う人に不思議な目で見られても何にも感じないほど、あたしは真剣そのものだった。
「意味分かんねぇよ。ハッキリ言え」
小野君は眉間に皺を寄せて、あたしを見る。
「俺と付き合え」
その一言から始まったあたしと小野君の関係。
お昼になると売店にパンを買いに行かされたり、荷物を持たされたり。
付き合い始め、あたしと小野君の間には、完璧な主従関係が出来上がっていて。
最初は小野君の彼女になれたということがすごく嬉しくて。
小野君のパシリでも、名ばかりの彼女でもいいってそう思ってた。
どんな形であれ小野君の隣にいられるなら幸せだった。
だけど、小野君と一緒にいる時間が長くなるにつれて、それだけじゃ我慢できなくなってしまった。
小野君があたしをどう思っているのか知りたいし、小野君にとってあたしはどういう存在なのか聞きたい。



