「……小野君、あの人と知り合いだったの?」
「後輩。血の気が多いバカ」
小野君は涼しい顔で店から出ると大きく背伸びをした。
「そろそろ帰るか」
「……うん」
小野君と一緒にいると、時間が経つのが早い。
きっとそれは小野君と過ごす時間が楽しいから。
……あたしが小野君を大好きだから。
歩き出した時、小野君があたしの手をギュッと掴んだ。
思わず顔をあげて小野君に視線を移す。
「お前、歩く時フラフラして危ねぇんだよ」
「……エヘヘ」
フラフラしながら歩いてよかったかも……なんて。
はにかみながら小野君を見ると、小野君はプイッと照れ臭そうに顔を反らした。



