「出るか」 「うん」 涙が止まった頃合いを見計らって小野君がそう言った。 小野君に抱きしめられると、何であんなにホッとするんだろう。 ずーっと、あのままでいられたらいいのに。 店内で喧嘩をしていた男達は店員に諭され何とか落ち着きを取り戻したようだ。 すると、小野君が男達のいる方向を指差した。 「あの二人のうちお前にぶつかったのはどっち?」 「え……あの茶髪のパーマかけてる人だけど……」 「分かった」 最後まで聞くことなく小野君は男達に歩み寄る。