「お前さ、どうして俺につっかかってくんの?こいつに気があるから?」
小野君の言葉に直人君はグッと唇を噛む。
「俺は俺なりのやり方でこいつと付き合ってんだよ。いちいち口出すんじゃねぇよ」
「別に口出しなんて……――」
「俺は便所に行ってたんだよ。お前は便所にも女連れていくのか?」
「小野には何を言っても無駄なんだな」
直人君はハァと深い溜息を吐くと、小野君をキッと横目で睨み付ける。
「俺は友達が待ってるから戻るよ。姫川さん、またね」
「……うん……ありがとう」
そして、直人君はあたしに優しく微笑むとヤジ馬達の中に消えて行った。



