「立てる?こんなところにいたら巻き込まれるよ」 「……直人君……」 何とか立ち上がって店の隅に移動すると、直人君が心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。 「怖かったね。でももう大丈夫だ」 子供をあやす様な優しい口調の直人君はあたしの頭を優しく撫でる。 その時、張り詰めていた緊張の糸がプツリと切れて、目から涙が零れ落ちた。