「……てめぇ!こっちこい!!」


小野君のことをぼんやり考えていると、突然、近くにいた男達が喧嘩を始めた。


最初は小競り合い程度だったのにすぐに事態は急変する。


一人の男が手を上げた。



「……――ふざけんなよ!!」


殴られた男は口から鮮血交じりの泡をペッと吐き出すと、血走らせた目で拳を握った。


ちょっと……こんなところで喧嘩……?


慌てて逃げようとしても、足が床にくっ付いてしまったみたいに身動きが取れない。