放課後ハニー



***


思い出してこみ上げた笑いを感じ、口元に手を当てた。
今私笑おうとした?

…馬鹿馬鹿しい。

眼鏡を正して屋上への扉に手を掛け勢いよく開け放す。


「やぁ。今日はちょっと遅いね」
「げっ」


唇の端がぴくぴくとしたのがわかった。
先にいるとかなんなのよ…
敗北感にも似た何かを感じて、はぁ、と溜息を吐く。


「今『げっ』て聞こえたけど」
「気のせいよ」
「嘘!」


相模の小言に耳も貸さず、胡坐を掻いてフェンスに背を預けるそいつから少し離れた場所に鞄を置いた。
サッカー部は今日も元気に走り
吹奏楽部は賑やかに演奏してる。
今日の曲は有名なアニメ映画のものらしい。


「今日は友響ちゃんにお土産あるんだよ」
「お土産?」
「うん。ちょっと冷めちゃったかな」


そう言って相模は白衣のポケットから缶の紅茶を差し出した。


「どうしたの?これ」
「部室棟の自販でコーヒー買ったら当たったんだ。さすがに2本も飲む気にはならなくてさ」


見ると傍らには蓋の開いてない背の低いブラックの缶コーヒーが置いてあって
私は差し出されたそれを躊躇いがちに受け取り


「…ありがと」


呟いて腰を下ろした。


「いえいえ。ストレートティーだけど良かった?」


プルトップを起こしながら相模が尋ねる。


「うん。一番好き」
「そんな気がしたよ」