「瞭くん………王子様みたい。」


「は?………ありがとうって言えば良い?」


「乗って良い?」


「……どうぞ。……って…………無視?」


「はいはい。王子様行きますよ?」


「美羽がふったんじゃん……。」


街灯に照らされながら、王子様がふくれた。


「ってやってる場合じゃないの。はい、乗って。」


王子様が助手席のドアを開けた。


「お姫様、どうぞ。」


「ありがと。」


ちょっとだけ頭を下げて乗り込んだ。


「出発させて頂きます。」


うやうやしく言うと、車は静かに走り出した。


「事情はちゃんと話すから。ちょっとだけ待ってて。」


そう言うと、彼は運転に集中した。