『今から迎えに行くから。』


そう言って切れた携帯。

深夜の11時になろうとしている。

寝る準備は万端整ってる。

…………着替えなくちゃ。

迎えに来るってことは、どこか行くんだよね?

なんだろう……?

珍しく少し強引な感じが緊張を呼んでくる。

季節は3月の終わり。

まだまだ肌寒い。

ジャケットをしっかりはおり、お気に入りの真っ白なコンバースを手にとった。

と、同時に携帯が彼からの着信を告げた。


『美羽、着いたよ。すぐ出てこれる?』


「うん。今、行く。」


急いで紐を縛り、外へ出た。

車の前に立ち、優しく笑う彼。

街灯に照らされ、そこだけ、別の世界みたいだった。