玄鬼の説明によると、玄鬼は鬼の一族の長・赤鬼(シャツキ)の命令を受けて茜たちの監視に来たのだと言う。
「んじゃ、キガクレノサトに案内してくれるんだよね?」
気色満面の茜の質問に対する玄鬼の答えは、実に素っ気ない物だった。
「教えたいのはやまやまじゃが、管轄外なのでな。教えられん」
「管轄外って、役人じゃあるまいし。なら、何のために私たちの前に現れたのよ!?」
「だから監視だと言うておるではないか。分からぬおなごじゃな」
監視するのが目的なら、悟られないように監視だけするのが本当なんじゃないのだろうか?
そう疑問に思った茜は玄鬼に詰め寄ったが、とうの玄鬼は何処吹く風で、後ろ足で耳の後ろを掻いている。
敬悟は、そのやり取りをただ何処か思案顔で見詰めていた。
「そうさの、挨拶代わりに一つ良いことを教えてやろう。お主ら、付けられておるぞ」
「え?」
ほれ、あそこ。
と言うように、黒いしなやかな尻尾が有る方向を指し示した。



