「で、この子猫が『赤鬼』の使いの『玄鬼』で、その……観察者だって?」
茜の説明を聞き終えた敬悟が、茜の膝の上で暢気に毛づくろいをしている黒い子猫に、うさんくさそうな視線を向けた。
どこから見ても、ただの黒い子猫にしか見えない。
確かに額に入った白いワンポイントは、まるで梵字のようで珍しくはあるが、あくまで珍しいの範囲内であって、鬼の使いだと言われても、にわかには信じがたい。
「ニャゴニャゴ!」
「え? なんだって?」
何やら不平がましい声を上げた猫語の通訳をしてくれとばかりに、敬悟が茜に視線を移す。
「観察じゃなくて、監視だって。もうっ、面倒くさいなぁ。直接話してよ!」
猫語の通訳などというまどろっこしい事態に業を煮やした茜が、膝の上の黒猫をにらみつける。
それに対して、黒猫が肩をすくめたように敬悟には見えた。
「仕方がないのう。男はあまり好きではないんだがの」
「いいから、説明してちょうだい!」



