「無駄じゃよ、茜。ワシの声はおぬしにしか聞こえん。そう言う力を使うておるでな」
「な、な、何で私の名前を知ってるのよ!?」
「どうした茜?」
急に猫相手に会話を始めた茜に、敬悟が訝しげな視線を向ける。
「え、あ、あの……」
この化け猫の言うことが本当なら、敬悟に猫の声は聞こえていない。
聞こえないものをどう説明すれば良いのか、とっさに思い浮かばない茜は言葉に詰まった。
「化け猫扱いは酷いのう。悲しいぞ」
「な!?」
茜は心を読まれていた事に気付き、固まった。
正に化け猫だ。
ただでさえ『鬼』出現でキャパシティーがいっぱいいっぱいなのだ。この上、化け猫のお相手はごめん被りたかった。
『喋らずとも、心で思うだけでよい』
今度は頭にダイレクトに響いてきた声に、茜は軽い頭痛を感じて顔をしかめた。
『あなた、いったい何なの?』
『ほう、さすがに飲み込みが良いの』
ふぉっふぉっふぉっ、と笑い声が茜の脳内にこだまする。
『だから、何なのよ!?』
『ワシは玄鬼(げんき)。赤鬼(しゃっき)の使いじゃよ』
『シャッキ?』
『そうじゃ。おぬしらの言う赤鬼じゃ』
赤……鬼?
「ええ~~~っ!?」



