「こっちにいらっしゃい、茜」 「茜ちゃん、お母さんが呼んでいるわよ?」 トントン。 山田さんに励ますように背中を叩かれ、茜はゆっくりと顔を上げた。 病室は個室で少し手狭だが、茜の絵本やオモチャが、味気ない室内にカラフルな色彩を添えている。 大きな窓には白いカーテン。 その窓を背にしてベッドの上で微笑む母・明日香の瞳は、茜のそれと良く似ていた。 少し珍しい色合いの鳶色の瞳。 そして、色素の薄い栗色の髪は、間違いなく母親から受け継いだモノだった。