トン――。 「きゃっ!」 後ずさっていた茜の背中が、部室の壁にぶつかる。 緩慢な動き故に大きな衝撃はなかったが、茜は飛び上がらんばかりに驚いて小さな悲鳴を上げた。 もう後には下がれない。 距離にして、5メートル。 鬼がもし襲ってきたら、簡単に捕まってしまうだろう。 一触即発。 茜がごくりと唾を飲み下したその時、 張りつめていた、空気が揺れた。