「敬にぃは、敬にぃよ。それ以上でもそれ以下でもありませーん!」
「ほうほう。んじゃ、私が、モーション掛けてもいいわけだ」
尚もからかいモード全開の真希の言葉に、茜が固まる。
「真希~~」
「あはは。あんたからかってると、飽きないなぁ」
「もうっ!」
口をとがらせて怒って見せる茜も半ば、真希とのこのコミニケーションを楽しんでいた。
こうしてふざけあっていると、その間は嫌なことを忘れられる。
落ち込んでいるだろう自分の気持ちを、何とか引き立たせようとしてくれている親友の心遣いが嬉しかった。
『真希の方こそ彼氏とはどうなのよ?』と、茜が反撃してやろうと口を開きかけた時だった。
ブルル。
と、マナーモードにしてある真希の携帯が鳴った。
真希は、制服のジャンバースカートから携帯電話を取り出して、着信窓に視線を走らせる。
「あ、ちょっとごめん。家からだ」
そう茜に断り、カラフルなキャラクターもののストラップが沢山付いた携帯電話を持って、窓辺に歩いていく。
「もしもし。あれ? もしもし~? 何これ?」
携帯電話を耳に当てたまま、真希が訝しげに茜の方を振り返る。
「も……」
そう言ったきり真希の動きが、ピタリと止まった。



