「な、何のことよ。私のどこがブラコンだって言うのよ!」
自覚しないでもない事を言われたので、茜はしどろもどろになってしまう。
「あれで、もう少し押しが強ければ、言うことなしなんだけどなぁ。ね、茜ー」
その様子を愉快そうに見やり、ニヤリと笑う真希を茜は頬を膨らませて睨みつける。
でもその瞳には照れとは違う『何か』が映し出されていた。
――確かに、敬悟にぃは『温厚』な性格なのよね。
茜は、彼が感情的に声を荒げた場面を今まで見たことがなかった。
だからといって気が弱いわけではなく、言うべき所は言う。
それに、面倒見は良いし料理も上手かった。
家事センスのない茜に比べればよほど間違いなく、家庭人として健全な生活が送れるタイプだ。
父の影響か、考古学どっぷりのちょっとオタッキーな所があるが、それはそれで『自分の夢を持っている』と言えなくもない。
好きか嫌いかと聞かれれば、それは『好き』に決まってる。
でもそれは、肉親に感じる親愛の情のはずだ――。
茜は、ぶるぶると頭を振った。



