茜と真希とはいわゆる『幼なじみ』で、幼稚園以来の親友である。
どちらも人一倍きかん気の強い子供だったので、事あるごとに衝突して、取っ組み合いの喧嘩をした仲だった。
『あなた達、まるで、男の子同士みたいねぇ……』
幼稚園の担任が、溜息を付きながら良く言ったものだ。
あれ以来、茜にとっては気の置けない一番の親友だった。
「昨日は、ありがとう。葬儀に来てくれて……」
「何、言ってんの。水くさい奴だなぁ」
真希はそう言うと、茜を背中をペチンと一叩きした。
「大変だったな神津」
「あ、橘くんもいたんだ。大き過ぎて気がつかなかったよ」
真希の向かいの席に座る真希の『彼氏』、橘信司(たちばな しんじ)が遠慮がちに掛けてきた声に、茜はおどけた答えを返す。
信司は身長190センチの巨漢で、柔道部の猛者だ。
小柄な真希と並ぶとまるで『大木にセミ』状態に見えるが、性格の強さから見れば真希の方が数段上だ。
所謂『尻に敷かれているタイプ』で、外見のイメージは『少し痩せぎすのジャイアント・パンダ』だ。
「あ、ひでぇ」
厳つい顔の上で自己主張する眉を軽く寄せて、『ちぇっ』という風に信司は口をとがらせる。
「ほんとのことじゃん」
くすくすと笑いながら追い打ちを掛ける真希の表情が、水を得た魚のように輝く。
いつもの場所で、いつもの顔ぶれで、いつもの他愛ない会話をする。
その日常性が、何よりも今の茜にはありがたかった。
やっぱり学校に来て良かった。
茜は心底そう思った――。



