「茜! 茜ー、こっちこっち!」
ちょうど、お昼休みも真っ最中の学校の食堂は、賑やかな生徒達の話し声で活気に溢れている。
それはいつもと何も変わらない、日常の風景。
茜は心地よい安堵感に包まれながら、キョロキョロと声の主の姿を探して視線を巡らした。
窓際の手前の席に座っていた女子生徒が、ぶんぶんと手を振っている。
茜は親友の姿を見付けて小走りに駆けだした。
声の主は、親友の高田真希(たかだまき)。
三つ編みにした黒い髪がトレードマークで、一見『おしとやか』に見えるが、かなりはっきりした性格だ。
「どしたのー!? 登校、来週からじゃなかったの?」
「うん。お父さんも、敬にぃも出掛けるって言うんで、来ちゃった」
少し驚いたように目を見開く真希にの言葉に、茜は「えへへっ」と小さな笑いを浮かべた。



