「お前なぁっ……。だから、注意力散漫だって言うんだ。もう昼過ぎだぞ。いくら忌引き休暇中だからって、いい加減に起きろよ」


おでこをさすりながら茜の服装に気付いた敬悟が、眉根をギュっと寄せた。


「何だお前、制服のまま寝たのか?」


え?


敬悟の問いに茜は、頭が混乱する。


ぎこちない動作で周りを見渡すと、そこはいつもと変わらない自分の部屋だった。


お気に入りのパイン材の机とチェストとベットの三点セットは、去年の誕生日に父にねだって買って貰ったものだ。


好きな淡いオレンジのトーンの室内。


その壁際の自分のベットの上で、茜は制服のまま座っていた。


「ええっ!?」


「ん?」


何かに気付いたように、敬悟が茜をじっと見詰めた。


正確に言えば、茜の着ている制服を見たのだ。