「これで、終わりです。成仏して下さい」
鬼の腕が敬悟の頭部を目掛けて振り落とされる。
ズン――。
鈍い音が、静まり返った洞窟内に響いた。
どぼどぼと音を立てて、溢れ出す赤黒い血。
だが、その血だまりに倒れ込んだのは、敬悟ではなかった。
「随分……器用な真似をしてくれる……」
そう言って、上総は笑った。
それはあの、いつもの嘲る様な嗤いではなく、心からの笑みに敬悟には見えた。
はぁ、はぁと敬悟が荒い息を付く。
その右腕は、鬼のそれに変化していた。
上総と同じ、赤い鬼の腕――。
とっさに起こした、メタモルフォーゼ。
その変化した敬悟の鋭い鬼の爪は、上総の身体を貫いた。
「行け……結界の発生装置は、そのまま宇宙船の自爆装置に繋がっている……。それが壊されればこの洞窟は、崩落する……」
ごぼっと音を立てて、上総の口から大量の血が吐き出される。
「行け……」
掠れた声で呟くと、上総は静かに目を閉じた。