その時、茜の腕の中で敬悟が身動ぎをした。 「だ、めだ……。茜、止め…ろ」 先ほどまで堅く閉ざされた瞳が、茜を見詰めている。 「敬に……ぃ?」 驚く茜の目の前で、敬悟の顔色が見る間に戻って行く。 「何故だ……? あの傷で、何もしないで回復するはずがない……」 上総の、初めて聞く声音だった。いつもの嘲るような余裕が消えている。 「敬にぃ!?」 「これが、効いたみたいだ」 ニッと笑顔を浮かべて、敬悟は、さっき茜が口付けた頬を指さした。