「話に、ならぬな」


鬼が、空いている手を振り上げ、ぶら下がったままの敬悟の身体を、斜めに叩き飛ばした。


どさっと、音を立てて敬悟の身体が地面に転がり落ちる。


叩き飛ばされた右肩から腹部にかけて、爪の形に肉がえぐり取られていた。


どくどくと音を立てて、血があふれ出し、敬悟を赤く染めて行く。


殺される――。


朦朧とした意識の下で、敬悟は自分の無力さを呪った。


何のために、危険を承知で茜をここまで連れて来たのか。


守りたかった。


例えどんな犠牲を払おうと、


あの笑顔を守りたかった。